男前な彼女 3

 

月に2度の伊吹宅の定期会議・・・・・

淀川組に南原を送りついでに見舞いがてら、淀川組を訪問・・・夕食を済ませての帰宅。

 

「お茶でも入れましょうか・・・」

コートを脱ぎハンガーにかけつつ伊吹は笑う。

「ああ・・・」

と龍之介もコートを脱ぎ、伊吹に渡す。

「そんなに心配ですか・・・嬢さんのこと・・・」

龍之介のコートをかけつつ伊吹は振り返る。

「17歳で、独りで組 背負って・・・つらいやろなあ。」

「南原送ること、ようしはりました。」

「俺には伊吹がいてくれたから、ここまで来れた。でも、あの子は独りや。南原が支えてくれたらええんやけど・・・・」

ソファーに座りつつ、物思いにふける龍之介・・・・・

「気づいてはったんですか」

「気づくもなにも・・・・あからさまに顔にでとるやんか。南原が好きです・・・て」

はははは・・・・・・

昔の龍之介なら、そんな事、気付きもしなかっただろう

「ほんまに・・・大人にならはりましたねえ・・・」

「でも、南原は・・・・どう思うてるんやろう・・・」

「なんやかんや言いながら可愛がってますよ」

とトレイにのせた紅茶を龍之介に差出し、ソファーに座る伊吹

「やはり、あいつ、女は恋愛対象と違うんかなあ」

「というか、17歳の子供ですから」

龍之介は伊吹を見上げる・・・・

「お前は、俺が17の時、そういう目では見てなかったんか?」

えっ・・・・・・

固まる伊吹

「そういう目とは・・・」

「にしては、腕枕も、ちゅーもしてくれへんかったけど・・・」

冷や汗が出る伊吹・・・・・

「何時から・・・取って食いたいと思うた?」

(やばい・・・)

おかしな方向に話がむいている・・・・・

「それは、秘密です」

 「やはりお前・・・ロリコンやろ」

だからショタだと何遍言えば判る!!!!

(どきっ)

「俺の考えでは・・・15。あの頃から微妙にスキンシップを避けてたなあ・・・」

(どきっ)

天然な少年時代の龍之介も伊吹の事には妙に敏感だった・・・・

「17は・・・子供とちゃうやろ?ちゅうても、南原がもし、そういう目で嬢さん見てたら、

あそこには送らんかったけどなあ・・・」

龍之介の考えが思ったより深いことに伊吹は驚く・・・・・

「まあ・・・あの子は見た目よりシャイで純情やから、南原に襲い掛かるようなことはないし」

(襲い掛かってたら怖いです・・・・)

伊吹は昔の苦い思い出をかみ締めた・・・・・・

「皆が藤島伊吹な訳とちゃうからな。これでおかしなことになったら俺の責任やし・・・」

「大丈夫ですよ。あいつは私より真面目で不器用な奴ですから・・・」

ふうん・・・・・・

ため息をつく龍之介・・・・・

「そういう奴は、わからずやでへタレで度胸無しで・・・・うだうだするぞ」

「あてつけですか!」

「おう」

「龍さん!!!」

 

桃香には今、心の支えが必要だと言う事だけは確かだった。

淀川組は3年前に姐を亡くしている・・・母の不在・・・龍之介は人事とは思えなかった。

 

龍之介は伊吹の肩に頭を乗せる・・・・

「お前がいてくれたから・・・俺はここまでこれた。あの子にとって南原が大きな力になったらええと・・・

それだけ思う」

「はい」

何時しか、周りを気遣えるほどに成長した龍之介が伊吹には頼もしい・・・・・

「今日は正真正銘の幹部会議やなあ・・・」

(そうですかあ・・・これのどこが・・・)

龍之介の言葉に疑わしげに首をかしげる伊吹・・・・・・

「でも基本的には、会議のテーマは”愛”についてや」

「そんなこと語ってましたか・・・私ら・・・」

「スキンシップも会話のうち」

(ああ・・・・・)

「でも・・とっくに組のモンには、ばれてますよね・・・」

それでも何も言わず、変な目で見られることもなく・・・・

「そういうもんや・・・」

シャイでも純情派でもない、直球型の龍之介は一人頷く。

 

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