発覚 5
次の朝、南原は伊吹に二日酔いの薬を渡された・・・・・
「・・・・兄さん、私・・・何か言いましたか・・・」
「ああ・・・なんか・・・いうてたなあ・・・」
気まずい空気が流れる・・・・・・
朝食を作る伊吹の後ろのテーブルで、小さくなる南原圭吾。
「あ、組長心配してはったぞ。他所の組のモンに拉致されたとか何とか・・行方不明にはなるなよ。」
「はあ・・・」
そこへ身支度を整えた龍之介が登場した・・・・・
「!ぼん・・・・おはようございます。昨日はすみませんでした。」
「おはようございます。大丈夫ですか?二日酔いは」
にっこり殺人微笑の龍之介・・・・・
「少し、お話していいですか?」
とテーブルをはさんで、南原と向かい合う龍之介
「一々皆に話すことじゃないと思いますが、南原さんは伊吹の側近でウチの若頭代理ですから、
知っておいていただきます。この藤島伊吹は鬼頭組次期組長、鬼頭龍之介の情夫(いろ)になりました。
南原さんの気持ちを無視したような事になりましたがすでにそうなりましたから、ここはご理解いただきたいんです。
南原さんの立場もありますから、この話はなかったことにして以後、伊吹にちょっかい出すような事は辞めてください。
すみませんでした。」
頭を下げる龍之介・・・・頭を下げているにも関わらず威嚇的である。
「ぼん・・・・こちらこそ申し訳ありませんでした」
南原も頭を下げる・・・・・・・・
南原を送り出し、龍之介を大学に送る道すがら、伊吹は感慨深くつぶやく
「龍さん・・・さっきは威厳ありましたよ」
すでに組長の器
「伊吹は気をつけてね。かっこよすぎて皆が狙ってるんだから・・・」
(そんなわけないでしょう・・・)
ハンドルを握りつつため息一つ
「加瀬君だって、伊吹のこと色々聞いてくるし。絶対、加瀬君、伊吹に気があるんだよ。でも加瀬君にも
僕との事バレたから・・・諦めるよねえ」
(え?!)
伊吹は驚く・・・・・・
誰がどう見ても加瀬は龍之介ラブである・・・・・のに・・・・・・
(やはり・・・・何処かズレてる・・・・・)
「伊吹に虫がつかないように僕が守らなきゃ」
何処かヌケた8代目。不安になる伊吹だった・・・・・・・
「一週間で私ら・・・バレバレと違います?」
ふふふふふ・・・・・
不適に笑う龍之介・・・・・・
「組中に宣言するかなあ〜伊吹は8代目の情夫(いろ)だから、ちょっかいだしたらタダですまないって」
(それは・・・・辞めて・・・)
怯える伊吹・・・・・・・
「そうだ!結婚指輪しなきゃあ!虫除けにはこれだ〜伊吹のバースディプレゼントに結婚指輪あげるよ。」
(は?)
「やだなあ。カップルリングと思えばいいじゃない!・・・・・それともいやなの?」
圧力を何気にかけてくる龍之介に伊吹はうろたえる
「い・・・いえ・・・」
恋愛の初めはとかく嬉しくて公表したいもの。
自信はついたが独占欲は強くなった龍之介、完全主人の位置に納まった・・・・・・
戸惑いつつも・・・・・独占される喜びを密かに感じる伊吹だった・・・・・
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