バースディプレゼント 1

 

 

大学のカフェで、龍之介は特別講師にきていた島津と落ち合った。

「若ぼん。どうですか?あれから?」

南原の失踪事件は島津の所まで広まっていた。

「何もなかったように普通です。」

「南原もかなり動揺したんやなあ・・・思い切った事しよるわ」

沈着冷静で通った南原の意外な行動は周りを驚かせた

「それほど伊吹のこと思ってたんですよ南原さん。」

「まあ、異常に尽くしとったよなあ・・・あいつ。」

「信さん・・・他にもいるんでしょうか?伊吹の事好きだという組員・・・」

さあー

と首をかしげて笑う島津・・・・・

「藤島は鬼頭のカリスマや・・・・惚れへん奴はおらん。が・・・・南原みたいな惚れ方する奴は

あまりおらんのと違うか・・・・なんや心配なんか?」

ため息をつく龍之介・・・・・

「伊吹って案外、情に流されるんですよねえ・・・バシッって斬れないみたいで」

「しゃあないわ。南原は藤島の側近や。ああ見えても実の弟のように大事にしてるんや・・・ほら、

肩の傷・・・南原庇うて怪我したやろ・・・あん時・・・」

少し嫉妬心がわいてくる龍之介

「そうでなくても慕ってくる舎弟は1人、2人と違う。若ぼんが惚れるような男や、他のモンが惚れてもおかしないから」

とコーヒーを飲み干す島津。

早く8代目襲名して、四六時中 伊吹の傍についていたい龍之介

「それで、藤島に首輪ならぬ、指輪つけてマーキングしようという魂胆ですか?」

と小さな箱を龍之介に差し出した。

「あ・・・ありがとう!!!」

受け取り、箱の中身を確かめる。銀色に輝くリングが2つ並んでいる

「なるべく、シンプルで太めなものを探しました。ゆうても、ウチの若い事務員に選んでもろうたんですが・・・」

とカードを差し出す

「値段も予算内で手ごろかと・・・」

ほとんど使った事のないカードを受け取り、龍之介は財布にしまう。

「ありがとう!信さんがいなかったらどうなっていたか・・・・こういうの僕、全然わからないからさあ・・・」

「もうすぐ誕生日ですからねえ・・・藤島の・・・」

頷く龍之介・・・・・・・・

「これ付けとけば結婚してると思って、伊吹に手ぇ出さないよねえ・・・」

はははははは・・・・・・・

島津は笑う

「若ぼんはホンマに可愛いなあ・・・・」

ままごとみたいな結婚ごっこ・・・・・・

島津は少し胸が痛む。どんなに好きでも彼らは報われない

法的な婚姻という関係は結べない。

いつか龍之介は、そのリングを外し、本物の結婚指輪をはめることになる

 

しかし・・・・・・

 

今は幸せな時を過ごさせたいと思う・・・・・

”今”を大事にして欲しいと思う。今こそが未来への第一歩なのだから・・・・・・・

 

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