発覚 3
「龍君?何かあった?」
学食で昼食を食べている途中で、加瀬はそう聞いてきた。
「・・・・何もないよ・・」
「なんか・・・変わったよ」
「どこが?」
「なんか・・・大人になったカンジ・・・」
かすかな変化も見逃さない腐男子、加瀬俊彦
「大人・・・って・・・」
頬を赤らめて俯きつつ加瀬に一撃加える龍之介
「何言ってんの〜やだなあ〜〜〜」
(なんか・・・・おかしい・・・・)
嫌な予感がする・・・・・・・・・・・
「待って・・・まさか・・・」
龍之介のシャツの襟元を開いて、首周りを点検し出す加瀬を龍之介は払いのける。
「!やめて!なんなのさ!」
「ついてないなあ・・なにも・・・」
「つくわけないじゃん!伊吹ったら最後まで僕の事、壊れ物扱うようにやさしく・・・・て・・・やだあ!何言わせるのさ~」
照れた龍之介にバシバシ叩かれつつ、加瀬は真っ青になる・・・・
(なに〜〜〜!!!!なんだって!!!)
「龍君・・・・まさか・・・・藤島さんと・・・・」
「もう伊吹は僕のものだから、手ぇ出さないでよ」
(なに???否定しない!僕のもの・・・・て・・・!!!!)
「龍君ひどい!!!」
立ち去る加瀬の後姿を見詰めつつ、あっけにとられる龍之介
「加瀬君・・・・」
18年間の加瀬の片思いは終わった。龍之介に気付かれる事もなく・・・・・・・
「龍君!」
廊下で薫子に呼び止められた
「藤島さん、婚約でもしたの?」
「え?」
「なんか昨日、伯父さんから”藤島には決まった人がおるからもうちょっかいだすな”って電話がきたのよ・・・」
「ああ、そうです。組系統なんで・・・ごたごたすると厄介な事になりますから、気をつけてください」
「て?何処かの組の組長の娘とか?」
(息子なんですが・・・・)
ははは・・・・・・
龍之介は誤魔化し笑いをする
「そういうとこです」
力なくため息をつく薫子
「で・・・訊いていい?”イロ”って何?」
「赤とか・・・青とか・・・」
「じゃなくて・・・・”イロ”になるってどういうこと?」
(どきっ・・・)
「・・・・さあ・・・僕には・・・ちょっと・・・」
困り果てる龍之助・・・・・
「そう・・・ありがとう」
力なく立ち去る薫子に少し罪悪感・・・・
(しかたないよねえ・・・・)
いくらなんでも薫子には言えない気がした。
しかし哲三にバレて、かえってすっきりしている。度胸もすわった。
でなければ今頃、隠してコソコソしているかもしれない。
でも・・・・・
(あちこちにバレバレじゃない?いいのかなあ・・・・)
もちろん島津は知っている・・・和子にも哲三は話しただろう。
それを薫子は横聞きして”イロ”の事を聞いて来たに違いない
加瀬も勘付いた・・・・・
(まあ・・これで加瀬君は伊吹のこと、諦めるだろう・・・)
などと、方向違いな事を考えつつ、龍之介は午後の講義に向かう。
(伊吹のほうは大丈夫かなあ・・・・)
当分は色々騒がしくなる予感がしていた・・・・・・・・
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