婚約指環2
引き出しに先ほどのおもちゃの婚約指輪をしまうと、ベッドに腰掛ける龍之介。
ここ数日間で、飛躍的発展を遂げている気がする・・・・・・・
(やはり、同居効果は凄い)
チェーンを首から外して、手のひらに載せる
(昔みたいに指にはめてくれないのは、これは ただの擬似婚約って事?)
伊吹はいづれ結婚する・・・龍之介も。
(僕と伊吹が結婚することは法的に無い。だから伊吹は・・・・)
涙がこぼれた・・・・
(ダメなんだ・・・・僕の願いは叶わないんだ)
自然の法則に逆らって、男の自分が男である伊吹を好きになっている・・・・・・
気付いている、そんな事。認めたくなかっただけ。
2人とも結婚したら第3者の介入により、龍之介と伊吹の間は今より遠くなる。
(伊吹は僕だけのモノ・・誰にも渡さない)
チェーンを握りしめる・・・・・
既成事実を作る・・・というのも、あまり効果ないような気がする
(女じゃないからなあ)
想いが深くなればなるほど、苦しみが増す
(どちらかが結婚するまでのおままごとなんだ)
涙が頬をつたう・・・・・
(何時からだろう、伊吹への想いが、別のものに変わっていったのは・・・・)
ヨメになる宣言した小4の頃は、こんな苦しみは知らなかった
婚約指輪を貰って安心できた。ずっと一緒にいれるんだと
思春期に差し掛かると、何故か婚約指輪を隠し持つようになった。
革紐に通されたおもちゃの婚約指輪は、恋慕の化身・・・・しかしこの想いは禁じられたものと知っている。
家族として好きだった伊吹が、だんだん恋愛対象になってくる
葛藤を内包しつつ、しかし伊吹の傍にいれる安心感だけで過ごして来れた・・・
(伊吹は?最初の婚約指輪は兄として、養育係としての愛情だったはず。だから、指にはめてくれた。これは?)
容易く、指にはめる事の出来ない重みを持っている。
(伊吹も・・・・)
この重みは、禁じられたものへの葛藤の重み。
龍之介は、もうこの薬指に この指輪がはめられる事は無いだろうと思う。
もし・・・・
指輪がはめられるその時は・・・・
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