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12時に和真と史朗はナルシス・ノワールの再契約の為にルナ・モルフォの客室に

呼び出された。デイユースプランを利用しての会合である。

「お食事を準備しましたので、どうぞ」

部屋に入ると案内係が、ランチセットがセッティングされているテーブルの椅子を勧めた。

「深田社長は少し遅れるので、お先にお食事なさってくださいとの事でした。ごゆっくり」

一礼して去ってゆく案内係と入違いに、玲二が入ってきた。

「深田社長の名代として、接待させていただきます」

にこやかに微笑みつつ、テーブルのグラスに水を注ぎ、和真の脇に立った。

「菊川・・・」

「今は松田でございます。支倉社長」

玲二は、今は支倉の社員ではなく、ルナ・モルフォの後継者なのだ。

「深田社長もお忙しいようですね」

フォークを取りながら、公私混同している玲二に史朗は苦笑する。

「お昼の休み時間に、これと後ひとつの案件を処理する予定だそうです。昼食時間に

お呼び立てしたお詫びに、是非ご接待をなさりたいとの仰せで・・・」

「それはご丁寧に・・・」

和真も畏まった口調で答える。しかし、ホテル王の後継者が、深田志月の秘書同然になり果てている事は

突っ込めないでいた。

「ところでお父上はお元気ですか?」

兄の忠の安否を、そのように訊く和真が妙におかしくて、史朗は笑いをこらえる。しかし、史朗より先に

玲二が大笑いした。

「僕の父は、支倉社長の兄にあたるから・・・支倉社長は僕の叔父さんということになりますね?一応は・・・」

本当に妙な関係だ。

そんな無駄話をしていると、志月がノックをして、部屋に入ってきた。

「遅くなりました、どうぞ、ゆっくりお食事なさってください」

そういって志月は急いで食卓につくと食事を始めた。

「お忙しそうですね」

史朗の言葉に志月は苦笑する。

「兄の尻拭いに奔走しております。頭の痛い話ですよ」

そう笑いながら、和真達と同時に食事を終えて、一行はソファーに移動すると、ノートパソコンと書類を取り出して

商談をはじめ、玲二はテーブルの食器をワゴンに乗せて、ドアの外に出すと、廊下のボーイに下げさせた。

「これは最初に前社長に提示して、ボツをくらったものなんです。これではナルシス・ノワールの利益が少なすぎると

言われまして・・・」

書面に目を通す志月に和真が説明する。

「特に問題は無いと思いますが・・・つまり、兄は商品の値の釣り上げを要求したという事ですか?」

ノートパソコンで志月は過去の取引と比較しつつ検討する。

「それでギリギリの線で契約書を書き直して、武田さんに持ってこさせて、あのザマという顛末なんだけどね」

いつの間にか志月の隣に座り込んだ玲二が口を挟んだ。

「それはひどいですね・・・というか、この最初の書類でいいんですか?これだと普通に50−50の商談となりますよ?

うちが今回お譲りする意味がないじゃないですか」

「ふっかけるつもりは、ありませんから。前社長には色々文句つけたいところですが、志月さんには、なんの恨みも

ありませんし、これからも良心的な取引ができるのなら何も望みません」

その言葉を聞いて、志月は深々と頭を下げた。

「ありがとうございます。肝に銘じます」

そうして、無事に契約を成立させると、玲二と志月は部屋を出て行った。

「思いのほか早く済みましたので、残りの1時間はこちらでゆっくりお休みください」

そう言い残して・・・

「うまくいきましたね、早く済んで良かった」

と食後のお茶を入れる史朗を、和真は後ろから抱きしめた。

「社長?」

振り返った史朗の唇を和真は奪う。

「どうせだから、ベッド使おう」

ここまでが志月の計らいなのか、それとも偶然なのか・・・史朗は悩む。しかし、和真が限界にきていることは確かだ。

密着している下腹部がそう告げている。

「じゃ、シャワーさせてください」

「5分以内だぞ」

和真の声を背に史朗はシャワールームに入る。そして、バスローブ姿で出てきたとき、和真は本当に時間を測っていた。

「お、ジャスト5分。よしよし〜」

そう言いながら自らもシャワー室に消えていった。史朗は自分のスーツをハンガーにかけ、和真の脱ぎ散らかしたスーツも

拾いながらハンガーにかけた。情事の痕跡など残してはいけない。スーツにシワを作る事も避けなければならない。

カーテンを閉め、光を遮断するも、やはり昼間である、かなり明るかった。休日は昼間からうちでいちゃついているから

昼間を理由に拒否はしないが、仕事の合間というのが引っかかる。果たして何もなかった顔で社に帰れるのか・・・

そんな物思いに浸る暇もなく、和真は腰にタオル一枚巻いて急いでやってきた。

「たまには、会社抜け出して、ホテルで息抜きも良くないか」

「仕事中は勘弁してください。公私混同ですよ」

そんな事を言っている間にも、史朗はベッドに押し倒されている。

「本当に、これっきりにしてください。このあと社に帰って仕事が手につくかどうか、心配なんで」

バスローブの前がはだけられて、和真に抱きしめられながら、史朗はそう懇願する。

「なに、お前って余韻残すタイプ?顔に出るとか?」

「というか、後ろめたいんで・・・」

史朗がそういう間も、和真は首筋から肩口に唇を這わせる。

「でもさ、そういう背徳感あると、もっと感じやすくなるだろ」

いえ、いいですもうこれ以上は・・・と言いたかった。女のように喘ぎ、悶える自分が恥ずかしくてたまらないのに

和真はそれを望むので、史朗はほとほと困っている。

「あの・・・顔見られるの恥ずかしいんで・・・」

と史朗はうつ伏せになる。うなじから、肩のライン、そして 肩甲骨・・・明るい室内で、史朗の背中がとても美しい

そっと背筋に沿って唇を這わせると、喘ぎつつ仰け反るその姿が艶かしく、和真はいつも以上に欲情する。

「いいね、後ろ姿も。というか、お前、ケツ見られても平気で、顔は恥ずかしい訳?」

脇腹のラインを両手でなぞりつつ腰を掴むと、和真は右手を双丘の谷間へ滑らせる。その時、何かぬるりとした感じに

史朗はびくついた。

「あ、これ?菊川、じゃなくて、松田ジュニアがシャワー室に置いていったローション。使ってくださいとかって置き書き

してあった」

そんなのあったかな・・・史朗は考える。先にシャワーしたのは自分なのに、気付かなかった。

「うぁっつ」

いきなり和真の指がズブリと入り込んで、史朗は奇声を上げる。

「なにその色気のない奇声は?痛いの?」

「痛くないですが、いきなりで驚いて・・・」

などと言ううちにも、史朗の中で和真の指が蠢いている。枕に顔を埋め、史朗はなるべく声を抑えた。

「俺、余裕ないから、もういいかな?」

指を二本挿入したところで、和真は史朗の腰を掴んで持ち上げ、自らの熱い塊を後孔にあてがった。入口に和真のモノが

あてがわれるだけで、史朗は待ちきれす、腰をくねらせる。思ったより自分は和真を欲していることに気づき、枕に押し付けた

顔がかっと熱くなる。そして、こんな顔を和真に見られなくて良かったと胸をなでおろした。

ゆっくりと侵入する和真の杭を後孔に感じつつ、史朗はさらに腰をくねらせる。その様子がとても官能的で、和真は、途中から一気に

根元まで突き入れた。

「んぁぁっ」

思いがけず声を発してしまい、史朗は後悔したが、和真はその声にさらに欲情する。

「どうして欲しい?ゆっくり?それとも激しく?ちゃんとおねだりしないと動いてあげないよ」

なんの羞恥プレイだろうか・・・史朗は眉間に皺を寄せるが、顔を見られない事だけが唯一の救いだった。

「最初はゆっくりで・・・だんだん激しくしてください」

「よく出来ました、お望み通りに・・・」

和真はニッコリと笑う。

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