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☆ 

「あ、すまない、なんか訳わからなくなって、めちゃくちゃしたかも」

「いえ、和真さんが初心者だからと、たかくくってたら、痛い目見ました。初めてであんな動きするとは

思わなかったんで」

息を切らしている史朗に和真は覆いかぶさる。

「大丈夫か」

「死にそうです」

甲斐は主に焦らして攻めるタイプだったので、激しい攻め方はしなかった。頂点までゆっくり高めて絶頂に

達する事しか知らなかった史朗に、和真は力尽くで引き上げ解き放つ快感を教えたのだ。

「え?そんなに酷かった?」

心配して顔を覗き込んでくるが、まだ高揚している顔を見られたくなくて、史朗は顔を背けた。和真は嫌われたのかと

不安になり更に顔を近づけてくる・・・

「恥ずかしいから見ないでくださいよ。まだ頭の中ぼーっとしてて、バカ顔してるかもしれないし」

しかし、和真の手によって無理やり正面をむかされ、史朗は視線をそらす。しかし、それが余計に何とも言えない

色気を放出させていた。引き寄せられるように和真は史朗に口付ける。そっけない態度とは裏腹に、史朗の唇は

熱を帯びていて、そのとろける様な感覚に和真はメロメロになってしまう。

「バカ顔なんてしてないから大丈夫。バカ顔じゃなくて、超エロ顔だから」

それをバカ顔と言いませんか・・・史朗は半泣きになる。

「いや、、こんな顔見たら、また元気になるかも。仕事中にも、思い出して勃ったらどうしょう」

ええ・・・史朗は俯く。そんなことを言われた事がなかったので、恥ずかしくなってきた。甲斐は公私を混同しないタイプで

閨の事は、職場には一切持ち越さない。どころか、行為を終えた途端に、もう冷めていた。それがいつまでも

余韻を引きずる史朗には寂しかった。

「そうか、もう勃たない位やっとけば大丈夫かな。一滴残らず吸い尽くしてくれ」

はあ・・・苦笑する史朗に、和真は真面目は顔で尋ねてきた。

「でも、死にそうとかって、お前は良くなかったって事か?俺とは苦痛なのか?」

いいえ・・・史朗は和真の首に腕をまわして抱きしめた。顔を見られないように・・・

「死ぬほど気持ちよかったって事です。こんな乙女でガチな事言いたくないんですけど、”こんなに凄いのは初めてです”

ってやつですよ」

安心すると同時に、笑いが漏れてきた。史朗に好きになってもらいたかったから、甲斐よりももっと自分を愛して欲しかったから。

「じゃ、さっきもちゃんとイケた?自分だけイッてたらショックなんだけど」

「ほぼ同時でした、私達、相性すごくいいかもしれませんよ」

耳元で囁く史朗の声に、和真はゾクリとする。結婚していた時の妻にも感じなかった色気を感じる。自分はもしかして

同性愛者だったのかもと思うくらいに。メガネを外している史朗の顔が、和真の頬に当てられ、史朗の睫毛が瞬きする度に

和真の頬をくすぐる。そんなソフトな感覚までもが、和真を欲情させるのだ。今まで、これほどまでに感じたことがないというほどに

情欲を史朗に感じる。

「俺、今まで淡白な方だったんだ、なのにお前には貪欲になる。これって、お前がエロいから?フェロモンとか出してる?」

甲斐にはそんな事を言われた気がするが、だからと言って他の誰かにナンパされた事も、言い寄られた事もない。

「認めたくないですが、私は快楽に弱い方なんです。溺れる質というか・・・だから、行為の最中はエロいかもしれません。

でも、貴方は今まで知らなかった事を覚え始めたので、一時的に夢中になっているだけではないかと・・・ほら、初体験後の

男子高校生が猿みたいになるあれですよ」

「ちょ、待て・・・高校生の分際で童貞切るのか、世間ではそうなのか?」

そこにひっかからなくても・・・史朗は困った。

「高校生じゃなくても、覚え始めたらという事で・・・」

「お前もそうだった?」

和真に聞かれて、史朗はふと考える。自分は大学生の時、付き合っていた彼女と、ごく普通にそういう関係になっていたが、

特に夢中になるほどでもなく、溺れるほどでもなかった。自分が快楽に弱いと感じたのは、甲斐との関係でだった。

「初めての時は、それほどでも無かったですね」

「じゃ、甲斐との時からか・・・それって、突っ込むより突っ込まれる方が性に合ってるって事か?」

あまりにダイレクトな言い回しだが、それは間違ってはいない。

「でしょうね・・・」

認めるしかなさそうだ、そういう属性らしい。先程から和真の首にしがみついていた史朗は。ふと腿のあたりに違和感を感じた。

「和真さん、当たってますよ・・・なにか・・・その」

「お前の睫毛が凶悪なんだ、こそばゆい感じが腰にくるというか・・・とにかくエロい」

睫毛ですか?史朗は顔を離して和真を見つめる。やはり男にしては長いと思われる睫毛が史朗の目元を覆っているのを見て

和真はそっと、指でその睫毛をなでてみる。

「これが俺の顔をパタパタしてたんだ」

バタフライ・キスー 睫毛のキスをそう言うらしいと、どこかで聞いた気がするが、どこだっただろうか・・・

史朗はぼんやりそんな事を考えた。そんな彼を、和真は引き寄せて抱きしめた。

「もう一回したいんだけど」

「朝までする気ですか?」

年上が相手なのと、年下が相手なのとは、やはり違うのだろうかと史朗は苦笑するが、断りきれそうもない自分に、さらに苦笑した。

「俺と初めてした時は何回した?」

「1度だけです・・・すみません」

酔っぱらいを襲った感は否めない。仕掛けてきたのは確かに和真だったが、反り勃った和真の肉の杭に、その身を穿ったのは史朗だ。

「よくそれで俺のはおさまったな、酔ってたからか?って、もう謝るなよ」

「自分でもあの時、何故あんなことをしたのかわかりません。まさか自分の会社の社長を襲うなんて・・・」

でもーと和真は史朗の両足を広げて、その間に自分の体を割り込ませた。

「それほどこれが、欲しかったんだよな」

和真は、さっきまで史朗を穿っていた肉の杭で、史朗の脚の付け根をなぞる。その刺激に体を震わせながら史朗は、曲げた両足を

さらに折り曲げて和真を促す。

「はい、もっとください」

今度は、和真の意思で貫かれるー そう考えただけで、史朗の全身に痺れるような甘い感覚が広がる。

ゆっくりと押し広げられながら進む和真が待ちきれず、腰を蠢かす・・・全身でこれほどまでに誰かを求めたのは初めてだった。

そして、こらえきれずに激しい動きを繰り返す和真の背を強く抱きしめた。余りにも夢中になりすぎて、爪を立ててしまう程に

我を忘れて史朗は和真を貪った。

八年、甲斐を思いつつ、一人で過ごした日々を取り戻すかのように、その間の空腹を満たそうとするかのように史朗は和真を求め続けた。

頭の片隅で、箍が外れてしまった事に恐れを感じつつも、目の前の快楽に飲み込まれて行った。

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