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?料亭の個室で向かい合う恭介と桔梗。なんとなく落ち着かない・・・

「さ、飲めよ。」

恭介は桔梗の杯に酒を注ぐ

「俺が酌するなんて初めてかな・・・」

嬉しそうだ。

「頂きます」

それを受けて飲み干し、恭介の杯に桔梗は酒を注ぐ

「宗吾、俺は武士を辞めた、それでもよければ、俺のところに来てくれ。」

「何があったか、訊いていいですか」

うん・・・

恭介は頷いて箸を取る

「若君な、見つけたんだ」

刺身をつまみつつ、そんな事を言う・・・・

「鳴沢冬馬様ですか!見つけたのに何故・・・」

お家再興が恭介の生き甲斐だったのではなかったか

「若君は・・・聞いて驚くな、悠太だったんだ。」

え!

灯台下暗し・・・と言うが・・・まさか・・・

「・・・恭さん・・何故、今まで気付かなかったんですか?」

・・・・・・・・・・

何もいえない恭介・・・情け無い限りである。

「誠次がな、必死に隠してやがった。」

ああ・・・

それは判る気がする、悠太を取られないため・・・だろう。

「じゃあ、どうして判ったんですか?」

「印籠だ。」

印籠・・・・

薬を入れる容器・・・確かに、悠太は親の形見だと、印籠を持っていた。あまり人には見せなかったが。

また、薬入れに興味を示す者もなかった。

「鳴沢家の紋がはいっているんだ。」

「なんか・・・蝶の?」

見たような見なかったような・・・

「そう、それ。実は悠太自身も隠してたんだ。俺の事、知っててだぞ」

そんな・・・・

「じゃ、どうやってその、隠し持っていた印籠が発覚したんですか?」

それは・・・・・・・にわかに恭介が緊張し始めた。

「何でも話すんでしたよねえ」

・・・・・・・・・・・・・

ため息の恭介・・・・

「超大恥なんだが・・・」

桔梗も、にわかに緊張し始めた

「俺、悠太を襲った」

え!!!

「未遂だけど」

「恭さん、子供は駄目なんじゃ・・・」

「15・・・微妙だよな・・・ていうか、嫌がらせにな・・・」

かなりかっこ悪い事を暴露させられて、バツの悪い恭介である。

「それ・・・結城屋の若旦那との事で?」

頷く恭介。

「若旦那から手を引けとか言ってきて、なんかムカついてな・・・」

(恭さん・・・・鬼畜・・・)

かなりひく桔梗。

「帯、解いたら印籠が・・・」

「未遂でよかったですね。下手すりゃ切腹ですよ」

そう・・・

「それはいいとして、若君は、お家再興の意志はないと仰った。これ以上血を流してはならんと・・・そして、生きろと」

桔梗はうなづく。悠太の持つ潔さ、そして修羅の匂いはそれだったのだと今、気付く。

「若君の意志は鳴沢公の意志だ。俺は今を生きて行く決意をした、主君に恥ずかしくないように。

そして、主君を思い出にした。」

「だから、つきあってた人たちと別れたの?」

「ああ、身代わりはもういらない。お前だけでいい。 と、そういうことだ。」

やっと、今までの経路が理解できた気がした。

「もう、職人として生きるのだから、同居人くらい持ったっていいだろう?といっても、俺は女は駄目だから・・・・」

「私を、同居人に?」

うん。

「お前と一緒に飯食って、一緒に町歩いて、朝も昼も夜もずっと一緒で・・・そうなりたい。

それに、何処かのオヤジがお前を買っていくのは許せないしな。だから、俺だけのものになれ」

そう言われれば言われるほど、桔梗は申し訳なくて答えられなくなる・・・

「まさかと思うけど、俺の事・・・嫌いなのか?そうなのか?本当は他に好きな奴いるのか?

それとも、廓出て、女と所帯を持って、まっとうに生きようとか思ってる?」

実は恭介もかなり自信がなかったりする。

「貴方より好きな人なんていませんよ。でも、身請けされても、私は貴方の役に立たない・・・」

「いるだけでいいんだ、いい加減 一人暮らしは辛いもんがあるからな。あ、冷めるから早く食えよ」

そう言われて桔梗は箸をとる

「あ、出来れば、俺に愛情注いでくれればもっと嬉しいけど・・・」

ははははは・・・・

(恭さんは本当に可愛い・・・)

8つも年上なのに、子供みたいな所がある。

「私の愛情が貴方の役に立つのなら・・・お受けいたします」

?「え、マジ?ホント?」

その姿は子供そのものだった・・・・・

「私が貴方の中で、そんなに大きな存在だとは思えないけれど、傍で私が手伝えることがあるなら精一杯

お手伝いしたいと思います」

信じよう・・・そう思う。

「爺さんになっても、ずっと一緒だぞ。」

「はい」

何とか説得に成功した。恭介は有頂天だった。

「ということで、さ、食え」

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ゆっくり食事した二人は座敷を出る、そこには・・・

「あら〜恭ちゃん!なに?デート?」

お町がいた

「お前何してるんだ・・・こんなトコで」

相変わらず、珍妙ないでたちである・・・

「お菊様のお供で、菊娘の幹部定期集会なの〜」

なにやってんだか・・・・・恭介はあきれる

「で、何々〜相手誰よ?あれ〜桔梗太夫じゃない!その格好は?」

ああ、煩い奴に捕まった・・・と恭介はため息をつく

「え!桔梗太夫に男装させてデートしてる?!」

男装という表現は間違っている・・・

「いや、俺、桔梗を身請けするんだ」

「おめでとう!」

お町は突然、恭介と桔梗の手を握った。

「それは早速、白菊瓦版に載せないとね〜町内人気カップル2位がとうとう所帯持つか〜」

(2位なのか?)

恭介は、桔梗の顔を見る・・・

・・・・・・・

雪花楼は格好の妄想スポットといえる

「あ、じゃあね!お菊様にご報告しなくっちゃ〜」

と、そそくさと去っていった

「菊娘って、お金持ちなんですね。」

「まあ、大店の娘達だからなあ・・・」

でも、とんでもないものに見つかった気がした。

そう思いつつ店を出る

「で・・・1位は誰なんだい?」

「結城屋の・・・」

ああ、誠次

(災難だな・・あいつも)

同情する。

「あ、ところで、結城屋の若旦那とは、どうなったんですか?」

店を出て、夜道を歩きつつ、桔梗は振り返る

「どうもこうも・・・若君のお達しで手が出せなくなった。」

ははははは・・・・・・

大笑いの桔梗

「まあ、もともと、あいつとは縁がなかったのさ。宗吾がいてくれたら、あんなの全然目じゃないぞ〜」

負け惜しみっぽいなあ・・・桔梗は苦笑する。

「あ、ほんとだってば〜」

はいはい・・・・

笑いつつ暗闇にまぎれて、そっと恭介の腕に自分の腕をかける・・・

「怒らないから安心して下さい」

廓の外では、不思議に総てが信じられた・・・・

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