氷恋 −次の日ー                                                   

 

 

「副長、起きてください、」

身支度を全て済ませた沖田は眠っている土方を起す。

「ああ...」

「朝ですよ」

そう言いつつ火鉢の火をおこしにかかる。

 

「副長ーお食事の準備が出来ております」

新参の隊士が呼びに来て、沖田を見つける。

「沖田先生...」

「私がたたき起こしましたから安心なさい。」

「こちらでしたか...!!首のここんとこ、赤いですよ」

 

「え!?」

「昨夜、お見掛けしませんでしたが....朝帰りだったんですね...」

勝手に解釈して彼は出ていった......

 

しかし.....沖田は鏡を見る

(どうしようか.....)

「どうした?」

身支度を整えた土方が訊いてきた

「こんな所に痕ついちゃいましたよ....どうします?」

「近藤さんには見つかるなよ」

沖田に対して過保護な近藤は、彼がかすり傷一つ負っても大騒ぎする。

(やれやれ....体不調でも装い部屋にこもるか....)

「行きますよ」

沖田は部屋を出て行く

 

 

首に手をあてたまま廊下を歩いていると、めったに屯所にいない山崎が向こうからやってくる.....

カンの鋭いこの男....要注意.....

「沖田君」

廊下の隅に連れ込まれた。

「昨夜はご苦労さま。辻斬りで処理されたよ.....!!首、どうしたの?」

「いいえ..なんでも....」

「まさか...刀傷じゃあ...やられたの?」

私闘は御法度....怪我を負わされたら切腹.....

「みせなさい」

「かすり傷ですから.....」

「そう?近藤さんに見つからないようにね」

と去ってゆく山崎の後ろから、その近藤がやって来る

 

「おはようございます....」

「おう、!どうした?」

やはり訊かれた.....首に当てた手......

「昨日、寝違えて...」

「見せてみろ」

「!!大丈夫ですっ!!!」

「みせろって...」

 絶対絶命の危機!!!!

 

その時・・・・

「それ、俺のせいだ...すまんな。」

懐手して余裕たっぷりに現れる土方

(!!!!!!何を言うんですか???)

凍り付く沖田...........

「昨日、久しぶりに稽古つけてやったんだが、俺の突きを避け損ねて、竹刀が掠ってそのザマだ。総司、恥ずかしがって隠すと誤解をうけるぞ。」

「そうか。」

ふてぶてしく嘘をつく土方、変に納得する近藤、凍り付く沖田.......

「近藤さん、すまんな...」

近藤の肩に手をかけて去ってゆく土方

「総司.....稽古もいいが気をつけろ、歳の突きをまともに食らったら大事だぞ」

そう言って去っていく近藤....立ちすくむ沖田.....

 

(突きって.......ええ....突かれましたとも.....)

 

 

受難の一日は始まったばかりだった....

 

                                   

                 完

 

 

 

 

                                *あと(あ)がき あるいは言い訳*

 

                       照れ隠しにお笑いバージョンを書いてしまいました・・・・・・

                       ふてぶてしい歳さん、素敵v

                       昨夜のヘコミもなんのその一夜明ければ、無敵の鬼の副長復活!!!

                      「突き」について言うと・・・・歳さん平突き・・・総司は三段突き・・・・

      沖田の方が上なのかな・・・・ホントは??

                                

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