選択  

 

 

「向こうの世界を捨てられるのか・・・・」

ユリシーズの問いが、智の頭の中を巡り続ける。

ここを捨ててもいいほど、ユリシーズが自分にとって大切なのか・・・・・

こんな気持ちでは部活にも行けず、図書室の窓辺に立つ。

窓から見下ろす風景・・・・・この世界との決別・・・

 

「智・・・・」

振返ると悠利が後ろに立っていた。

「僕は、どうするべきなんだろうか・・・・」

「こちらとあちらの二者択一で悩んでいるの?」

悠利は智の横に立つ・・・・・・

「何かを得る為には何かを捨てなければならない・・・君にとってデューク・ユリシーズは、

この世界と引き換えにするほどの価値があるのかどうか?」

テリウスは、自らの命と引き換えにエンゲージした・・・・・・・

ユリシーズを失うくらいなら、自分が身代わりに死んだほうがいい。

それが彼の選択・・・・

「デューク・ユリシーズは今まで、そういったぎりぎりの選択を何度もしてきたのだ。

戦でも、私生活でも・・・・・」

(だから、彼は自分のことを意気地なしで優柔不断だといったのか)

迷い迷い・・・・迷ったあげくの決断・・・・・命がけの・・・・・・・・

だからこそテリウスの事も、智の事も慎重になるしかない。

「智は、どうしたい?」

(僕は・・・・・)

「悠利は・・・・知っているの?この結末を・・・・」

悠利は首を振る・・・・・・・

「判らない。君次第だ」

重さに押しつぶされそうになる

「おりていい・・・・・」

悠利は智の肩に手をかけて向き直る・・・・

「君を苦しませる為に、デューク・ユリシーズや僕が存在するわけじゃあない。」

でも・・・・もう遅い・・・・・・甘美な毒を知ってしまった。

「戻れそうに無いんだ・・・・」

「デュークのこと・・・好きなのかい?」

「多分・・・」

「どこが?」

「理由は・・・・・無い・・・」

魂が引き合う・・・・・・そういう次元のもの・・・・・

!!!!

グラウンドで練習中の野球部の打った球が、二人のいる窓辺に飛び込んできた

その瞬間、球は悠利の目の前で垂直に落ちた・・・・・

「智!君か・・・・」

「最近、こういうことがよくあるんだ・・・無意識なんだけど。」

竜の血は目覚めてきている。エンゲージは急がなければならない。

 

 

「悠利・・・・これが・・・・ドラゴンズ・ブラッドの能力なのか?」

智は悠利を見上げる・・・・・・

「多分・・・」

(もう・・・智は、おりれない・・・・)

竜の血が目覚め始めた今では・・・・・

 

 

 

 

 TOP    NEXT 

ヒトコト感想フォーム
ご感想をひとことどうぞ。作者にメールで送られます。
お名前
ヒトコト

 

 

inserted by FC2 system