選択 2.
「向こうの世界を捨てられるのか・・・・」
ユリシーズの問いが、智の頭の中を巡り続ける。
ここを捨ててもいいほど、ユリシーズが自分にとって大切なのか・・・・・
こんな気持ちでは部活にも行けず、図書室の窓辺に立つ。
窓から見下ろす風景・・・・・この世界との決別・・・
「智・・・・」
振返ると悠利が後ろに立っていた。
「僕は、どうするべきなんだろうか・・・・」
「こちらとあちらの二者択一で悩んでいるの?」
悠利は智の横に立つ・・・・・・
「何かを得る為には何かを捨てなければならない・・・君にとってデューク・ユリシーズは、
この世界と引き換えにするほどの価値があるのかどうか?」
テリウスは、自らの命と引き換えにエンゲージした・・・・・・・
ユリシーズを失うくらいなら、自分が身代わりに死んだほうがいい。
それが彼の選択・・・・
「デューク・ユリシーズは今まで、そういったぎりぎりの選択を何度もしてきたのだ。
戦でも、私生活でも・・・・・」
(だから、彼は自分のことを意気地なしで優柔不断だといったのか)
迷い迷い・・・・迷ったあげくの決断・・・・・命がけの・・・・・・・・
だからこそテリウスの事も、智の事も慎重になるしかない。
「智は、どうしたい?」
(僕は・・・・・)
「悠利は・・・・知っているの?この結末を・・・・」
悠利は首を振る・・・・・・・
「判らない。君次第だ」
重さに押しつぶされそうになる
「おりていい・・・・・」
悠利は智の肩に手をかけて向き直る・・・・
「君を苦しませる為に、デューク・ユリシーズや僕が存在するわけじゃあない。」
でも・・・・もう遅い・・・・・・甘美な毒を知ってしまった。
「戻れそうに無いんだ・・・・」
「デュークのこと・・・好きなのかい?」
「多分・・・」
「どこが?」
「理由は・・・・・無い・・・」
魂が引き合う・・・・・・そういう次元のもの・・・・・
!!!!
グラウンドで練習中の野球部の打った球が、二人のいる窓辺に飛び込んできた
その瞬間、球は悠利の目の前で垂直に落ちた・・・・・
「智!君か・・・・」
「最近、こういうことがよくあるんだ・・・無意識なんだけど。」
竜の血は目覚めてきている。エンゲージは急がなければならない。
「悠利・・・・これが・・・・ドラゴンズ・ブラッドの能力なのか?」
智は悠利を見上げる・・・・・・
「多分・・・」
(もう・・・智は、おりれない・・・・)
竜の血が目覚め始めた今では・・・・・
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