契約者(マスター) 

 

 

 

目覚めれば朝・・・・自分の部屋

「夢か・・・・」

続きがなんとなく気になる夢だった・・・・

 

授業中も智は 夢の事が気になって、集中できずに放課後を迎えた。

 

(竜の眷属・・・・)

足は図書室に向かう・・・・・

中世の竜に関する伝承のようなものを探してみる・・・・・

海外の書籍のあるところに行くと、背の高い金髪の青年が本を片手に佇んでいた。

「ユリシーズ!」

面影が何処か似ていた・・・・ゆっくり振返るその顔は、夢で見た騎士団の団長・・・・・

「・・・・誰?どうして僕の名前を?」

蒼い瞳に見つめられて智は凍りつく・・・・・

「知り合いに・・・・似ていたんだ。君も・・ユリシーズというの?」

「ああ。僕はイギリス人の祖父を持つクォーターなんだ。日本名は竜崎悠利。

学校では、悠利と呼ばれているから、英名で呼ばれて驚いたよ。」

 夢でも見ているようだった・・・・・・・

「君の名は?」

「野中智・・・・」

「サトル?・・・何処かで聞いた名だなあ・・・・で、何の本を探してるの?」

「中世の竜の伝説・・・・」

蒼い瞳が智を見据えた。

「何故・・」

「占い師に・・・”貴方は竜の眷属”だといわれて・・・・その夜、不思議な夢を見たんだ・・・・」

「どんな?」

「場所は・・・・中世のヨーロッパで・・・・僕は死んだテリウスという、ドラゴンズ・ブラッドの替え玉となるよう、

ユリシーズという騎士団の団長に頼まれたんだ・・・・テリウスと僕は瓜二つだったから・・・・」

「智!」

悠利は智の腕を掴んだ。

「そういう文献は家にあるから、一度おいで。今からでもいいよ・・・」

「いや・・・部活あるから・・」

「終わったら、ここにおいで。」

「遅くなるけど・・・いいの?」

何がなんだかわからない智に、悠利は真剣な眼差しを向けた。

「僕は・・・そのユリシーズの子孫・・・更に言えば、生まれ変わりかも知れない」

その言葉に智は抗えなくなる・・・・

 

「わかった・・・ここで会おう・・・・」

 

 

昨日の夢の意味を知りたい一心で、智は図書室での再会を誓う。                          

 

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