襲名式 4

 

 

式当日、伊吹は龍之介の介添えで忙しい

「変じゃないか?」

しきりに自分の和装を気にしている龍之介。

「よう似おうてはります」

扇子を渡しつつ。伊吹は笑顔を向ける

「お前はスーツで、いいけどなあ・・・・」

会場に向かう廊下で参席客に会う

「この度は、おめでとうございます・・・」

「江藤様、御参席いただきありがとうございます。今までどおり、8代目も宜しくお引き立てのほどを・・・・」

口上を述べる伊吹の脇で、一緒に頭を下げる龍之介・・・

「龍之介君、ホンマに立派にならはったねえ・・・昔は女の子みたいに可愛かったのに、今は惚れ惚れするほどの

伊達男や・・・・」

横にいた江藤組の姐、理恵子が微笑んで言う。

「これもひとえに、世話役の藤島伊吹の努力の賜物や・・・・なあ?」

哲三と、ほぼ同じ年の江藤清人・・・・・洋装のダンディーな組長である

「いいえ・・・私は何も。虎の子は虎、獅子の子は獅子ですから。でも、まだまだ未熟者ですから、

宜しくご教示くださるようお願いいたします」

 

はははは・・・・・

笑って伊吹の肩を叩きつつ、会場に向かう江藤夫婦・・・・

 

「ああやって、会うたびに挨拶するんだろ?・・・疲れるな」

「そやから、傍に私がついてるんや無いですか・・・・」

「お前の晴れ舞台みたいだな。まあ・・・俺を育てたお前の手柄でもあるけど」

「いきなり背が伸びたのは、びっくりでしたねえ・・・」

急な成長に戸惑った事もあった・・・・・

「ガテン系にはならなくて助かったよ・・・・」

ガテン系にかなりこだわる龍之介・・・・・それがおかしくて笑ってしまう伊吹。

「とにかく控え室へ・・・新郎新婦同時入場ですから・・・」

聡子には島津と由布子夫人が付き添っている・・・・・

 

控え室にはすでに哲三、島津夫妻、聡子が待機していた。

「若ぼん!馬子にも衣装ですなあ」

驚く島津に由布子夫人はたしなめる・・・・

「若ぼんを馬子扱いしたらあきません・・・・」

「でも、立派やなあ・・・・」

哲三も満足げである

「はな・・・先に式場行ってるわ・・・」

龍之介を見て安心した哲三は式場に向かう。

白無垢の新婦、聡子は一段と美しい・・・・・

「2人並んだら美男美女カップルやなあ・・・・」

島津は本当に嬉しそうだ・

「ほな藤島、後はワシらに任せてお前も式場に行け」

「はい」

去って行く伊吹を一瞥する龍之介に島津はささやく

「襲名式のときは藤島が介添えで隣に来るから、今は我慢しいや・・・・」

 

島津夫妻に導かれて龍之介と聡子は晴れの舞台へと向かう・・・・・・

 

 

TOP   NEXT 

 

ヒトコト感想フォーム
ご感想をひとことどうぞ。作者にメールで送られます。
お名前
ヒトコト

 

 

inserted by FC2 system