結納前後 1

 

 

大阪に帰ると次の日には吉原組訪問。

挨拶に行く龍之介、父哲三、若頭兼世話役の伊吹、仲人島津。

おなじみの吉原の敷居も今日は高い・・・・・

哲三と島津は和装、龍之介と伊吹はスーツ、2対2の和洋折衷である。

 吉原組の組長吉原竹次郎は熊のような大男で豪快を絵に描いたような人だった・・・・

「若ぼん・・・気合負けしたらあかんよ」

行く途中の車の中で島津に励まされる・・・・・

背はそこそこでも、恰幅では負けている鬼頭チーム・・・・(要するにデブでないということ・・・)

「気後れする事はない。ウチが親組や。」

組長の顔になっている哲三

「私がついてますさかい」

若頭の顔になっている伊吹・・・・・

少し非日常的な雰囲気に緊張せざるを得ない龍之介・・・・・

 

 

「つきました」

運転席の南原が振返る

 

 

「ようお越しくださいました」

着くなり、客室に直行。竹次郎とご対面・・・・

がははははは・・・・

と笑う竹次郎。妻の佳代子は小柄美人で、横にいると美女と野獣だった。

「お茶お持ちしました・・・」

聡子が茶と茶菓子を運んでくる・・・・・

「聡子は龍之介君が気に入ったようで・・・あんなに誰とも結婚せえへん言うとった奴が

すんなり嫁に行くとは夢のようです」

乗り気の竹次郎。ウキウキである

「いえ、こちらこそ・・・立派なお嬢さん迎えられて光栄です」

哲三もにっこり笑って答える

「・・・・問題は・・・歳や。女が年上で構わんのですか?」

「龍之介は、ご存知の通り、幼くして母親をなくしております。そやから、年上の

包容力のある女性が合うんやないかと思いましてなあ・・・・」

うんうん・・・・大きく頷く竹次郎

「龍之介君はホンマに苦労したなあ。母親無しで、それでもこんなに立派になって・・・・」

「ウチの藤島が育ててくれたお蔭ですわ。」

と哲三は伊吹を見る・・・・・・

「藤島伊吹、名前はあちこちに轟いてるけど、若いのに組の事、ぼんの世話・・・・

やり手やなあ。鬼頭はん、何処からこんな人材 発掘したんや?」

(借金のカタで連れてこられました)

苦笑する伊吹・・・・

「男っぷりもええし、龍之介君と並ぶとほんま、絵になるわ」

「龍之介さんも男前やし。ホンマに良縁ですわ」

良妻賢母の誉れ高い吉原の姐、佳代子も頷く

「龍之介君、聡子を頼んだぞ」

「いえ、こちらこそ宜しくお願いいたします」

そういって隣に座っている聡子と見詰め合って笑う。誰が見ても似合いの二人・・・・・

「年明けの結納, 進めておきますから」

何の問題もなく話は進んでいく・・・・・・・・・・・

 

 

右に聡子、左に伊吹を侍らせて龍之介は前に進む決意をしていた・・・

 

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