冬休み 2
龍之介は夢を見ていた・・・・・
子供の頃の夢・・・・・熱を出して寝込んだ龍之介の傍で、伊吹が腕枕して一緒に休んでくれた
それが嬉しかった。額にあてられた手の暖かさ・・・・もっと熱が上がればいいと思った・・・・
目を覚ますと、すぐ傍に伊吹の寝顔があった。まだ夜が明けきらない薄明かりの中・・・・・・・・・
いつも気を張っていて、心の内を見せない鬼頭の若頭の無防備な寝顔が・・・
安らかでいとおしいその顔にそっと触れる・・・
(寝顔・・・・可愛いなあ・・・)
こんな幸せな時間は永遠には続かない。とてもとても貴重な日々・・・
ぽろぽろ・・・・
涙がこぼれる・・・・・
手に入れば更に欲張りになる・・・・つながりが深まれば、深まるほど更に深いものを求める・・・・
きりがない・・・・・・
(どうしていいか判らない・・・・)
「龍さん・・・・」
腕を濡らす涙に伊吹が目覚める。
「泣いてはるんですか・・・」
「伊吹、僕は後どのくらい伊吹の腕の中で、朝を迎える事が出来るんだろう・・・・この時はいつか終わるのでしょう・・・」
いっそ・・・知らなければよかった・・・・でも・・・・知らずにいられなかった
「龍さんは限りあるこの時を糧に、もっともっと強いモノになろうとしたのではないのですか?」
覚悟してこうなったのだから・・・・・後悔はしない・・・・
しかし、切なさと寂しさはどうしょうもない・・・・・・
「一杯にして、満たして。もういらないってくらい愛して・・・・でないともう・・・」
突然押し付けられた龍之介の唇は涙の味がした・・・・
踏み込めば苦しいだけと覚悟はしていたが、日ごとに募る苦しさに龍之介は耐えられない
!!!!
伊吹は身を硬くする・・・・
龍之介の舌が突然侵入し、彼の口蓋を掻いて来た・・・・・・
執拗にディープなキスに唖然とする伊吹・・・・
「龍さん!!!!」
「とにかく、家に帰ったらこういうこと出来ないんだから、今のうちにしとくよ」
龍之介は泣いたり襲ってきたり忙しい・・・・・・
やれやれ・・・・困ったように微笑む伊吹
「今まで自粛してましたが・・・龍さんが抵抗ないんなら、何ぼでも・・・」
と体制逆転して、さっきよりもさらにディープ化するキス・・・・
「伊吹・・・やれば出来るんだ。知らなかった・・・」
伊吹の逆襲を受けて惨敗の龍之介・・・・
「能ある鷹はツメを隠す・・・・」
「隠さなくていい!」
ヒトコト感想フォーム |
ご感想をひとことどうぞ。作者にメールで送られます。 |