発覚 2

 

 

島津の作業場につくと哲三は食堂に通され、朝食の席に着く。

「そろそろ来はると思って用意してました。」

「総て・・・お見通しやったんですか」

はははははは・・・・・・

島津は笑う

「で、若ぼんの寝室に踏み込んだんか?」

「まさか!さっさと伊吹が出てきました」

「藤島にぬかりはないわなぁ・・・」

楽しんでいる島津・・・・・・

「更に鍵かけて・・・念には念が入ってました」

ぶぁははははは・・・・・・・

腹を抱えて笑う島津・・・笑いすぎである

「藤島は猫みたいなとこがあるからなあ・・・」

「猫・・・ですか・・」

「自分の情事はひたすら隠す。どっちにしても堅い男や。へタレの癖にやる事は完全犯罪。」

島津の観察力にはいつも驚かされる・・・・・・

「・・・・正直、濡れ場なんかに出くわしてたら・・・と思うと冷や汗でます」

「伊吹は絶対見せへんな。ああ見えてもスタイリストやから。まあ・・おあがり」

島津に進められて箸を取る哲三・・・・・

横の宮沢もそれに続く・・・・・

「与一ちゃんは・・目撃したんか?」

味噌汁の椀を取って島津は訊く

「まさか。駐車場におりました」

「なんで一緒に上がってこおへんのかと思ってたら・・・お前、知ってたんか?」

焼いた秋刀魚を突付きつつ、哲三はため息をつく。

「予想は・・・ついてましたから・・・・」

「なんや、知らんかったんはワシだけか・・・・」

寂しい哲三であった・・・・・

「で、反対はしはらへんのですね?」

「ああ。あんな龍之介見たら反対もくそも・・・」

「若ぼん変わりましたか?」

うんー

頷きつつ哲三は、今朝の龍之介の堂々とした雄姿を思い浮かべる。

「”僕が伊吹を守る”そう言うた。あいつが・・・。堂々としたもんやった」

「かなり覚悟して臨んだようですねえ。そこまで若ぼんを導いたんは藤島の技量や。」

はあ?

「あいつ、以前、若ぼんに襲いかかられて逃げ切ったツワモノやからな。」

ぶっー

今まで静かに食事していた宮沢が味噌汁を吹いた・・・・

「龍之介が・・・そんな事しよるんですか・・・」

唖然の哲三・・・・・・

「おかしな女にひっかかること思うたら、今回の事は上出来やと思うよ」

「知らん間に色々あったんですねえ・・・・」

感慨深くつぶやく哲三に島津は笑いかける

「わしゃ・・見てて面白かったがなあ。特に・・藤島のへタレぶりが・・・・藤島は間違いないから、安心しいや。

そんで・・・・与一ちゃん・・・ウケすぎや・・・・」

味噌汁を吹いた後立ち直れない宮沢を一瞥する島津・・・・・・

「クールな奴がウケだしたら、止まらんみたいやなあ・・・」

滅多に崩れない宮沢のポ−カーフェイスが無残に崩れた

「しかし、ワシの息子を笑いのネタにするのは・・・・・どうや?」

苦笑気味の哲三

「・・・すみません・・・つい・・・想像してしまいました」

(・・・・なに想像しとんねん・・・コイツ・・・・)

頭脳が明晰すぎて、低級なギャグでは眉一つ動かさない宮沢に、これほど笑われている龍之介と伊吹が

哀れに思えてくる哲三。

 

「ぼんが認めるんやったら問題無しや。元の鞘に納まったというか、納まるとこに納まったというか。

イロもできたし姐さん迎えて、8代目継いだら言うことなしや」

ニコニコ顔の島津・・・・

「!ちょっと・・・待ってください!これから3年半、龍之介と伊吹は同棲するんですか?」

「何を今更。新婚生活邪魔したらあかんよ。若ぼんとこ行くときは前もって連絡して行きや。19でイロ持ちとは

若ぼんもなかなか、やり手やなあ」

・・・・しかも・・・相手は鬼頭の若頭・・・・コワモテ・・・

 

ウケ続ける宮沢・・・・・・・・

引きつる哲三・・・・・・・・・

楽しそうな島津・・・・・・・

 

思いはそれぞれだった・・・・・・

 

   

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