受難の日々 2

 

 

ある夕方の事・・・・・

夕食の買出しに行く伊吹について、近くのマーケットまで行った帰りに

龍之介は一番会いたくない人とマンションの前でばったり会ってしまった・・・・・

「鬼頭・・・」

背後からやってくる美男子・・・・三条雅臣

「奇遇だね・・・君もこのマンション?」

(と言う事は先輩も?)

「何号室なの?」

にっこり微笑む花の美男子・・・・・

(教えたくありません)

困り果てる天然美少年・・・・・・

「お兄さん?」

と伊吹を見やる・・・・

「保護者です。」

と言う伊吹を、食い入るように見詰める三条・・・・

「2人で住んでるの?」

「はい。」

「そう。またね。」

伊吹に敵意むき出しの一瞥をのこして、三条は会釈をして去る。

 

「誰ですか?」

伊吹の問いに、龍之介はため息で答える・・・・

「高校のときの先輩で・・今、F大2年生・・・・1週間前、学校で偶然会ったんだ」

「ぼんは・・・人気者ですねえ・・・」

「え?」

(伊吹・・・誤解してる?)

「なんでもないよ!あの先輩とは。キザで気持ち悪いし・・・」

ムキになる龍之介が可愛くて、伊吹はにっこり笑う。

「はいはい・・・・」

 「僕には伊吹しかいないんだよ〜ホントだよ!」

「わかってます・・・」

伊吹は笑いつつ、エレベーターのボタンを押す・・・・

「まさか・・・押しかけてこないよねえ・・・」

だんだん、伊吹との2人っきりの時間が奪われてゆく気がした・・・・

エレベーターに乗ると、龍之介は伊吹の腕に自分の腕を絡ませる・・

「ぼん・・・・」

扉が開くと龍之介はそっと離れる・・・・

「明日はぼん、午後の講義ないでしょう?」

ドアの鍵を開けつつ、伊吹は言う・・・

「午後から、何処か行きますか?」

「うん。浅草!」

急に元気になった龍之介に、伊吹は笑いかける・・・

「はいはい・・・」

 

 

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