横恋慕の風景 2

 

 

 

・・・・ガイダンスを終え、12時前・・・・

さすがに空腹なので、龍之介は外食をねだった。

「和・洋・中・・・・・何にします?」

運転席から伊吹が訊ねる。

「ピラフが食べたい・・・・」

「はい。」

時々は”なんでもいい”ではなく、”○○が食べたい”と言う龍之介。

食欲があるのはいいことだ・・・・と伊吹は思う。

しかし・・実はこの伊吹こそが ”なんでもいい” 族なのに、本人は気付いていない。

”ぼんの食べたいものなら何でもいい” 依存型というか・・・ゆずり型というか・・・

 

席に着き、オーダーを済ませると、龍之介は思い出したように言った。

「加瀬君に会ったよ。F大だったんだねえ・・・・」

「え?ぼん・・・・今、気付かはったんですか?あんなにしつこう ぼんが何処の大学受けるのか訊きに来てたのに?」

「家に来てたの?」

「はい。」

ふ〜〜〜ん

「友達と違うんですか?」

「うん・・・・」

あんなに尽くしているのに、報われていない加瀬が哀れだった。

 

 

 

「あさってから授業始まりますね」

食後のコーヒーを飲みつつ、伊吹は微笑む・・・・

「!昼間、伊吹と会えなくなる!」

「と言うか・・・明日から出勤しますが、私は・・・」

「え〜〜〜〜最後の一日なのに〜〜一緒にいてくれないの!」

「毎週日曜日は一緒におれますが・・・・」

ああ・・・龍之介は頷く。

「そうだね」

「半日顔出すだけですから、昼からは何処か行きますか?」

「ううん。2人で部屋で、まったりしたい。」

(それは・・・拷問かも・・・・)

と、ちらっと思う伊吹

というのも・・・龍之介のまったりは、膝枕して昼寝と決まっている・・・・・

あれこれ色んな話をしつつ、うとうとまどろむ・・・・龍之介が醒めるまで、そのままな伊吹・・・・

最近、若頭の仕事が忙しくて”まったり”してやれなかった事に気付く。

「そうですねえ・・・たまには まったりしますか・・・」

「ううん・・・これから毎週日曜日は”まったりデー”だよ」

ええっ!引きつる伊吹・・・・・

「ぼん・・・ぼんは・・・二十歳までに一人前の男にならなあきません。次期組長なんですから・・・・

まったりしてる暇はありません!」

「え〜〜〜だめ?」

可愛く拗ねられて、揺らぎそうになりつつ、心を鬼にする伊吹。

「まったりする極道、見たことありますか?」

「ない・・・・」

「でしょう?」

「月1回は?」

ふ〜

ため息をつく伊吹・・・・・

「じゃあ・・・月1回」

「わ〜い」

 

 

二人はまだ知らなかった・・・・・

まったりする二人だけの時間など、来ない事を・・・・・・・

 

 彼らの行く末に、いくつもの障害が待ち構えていた・・・・・

  

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