旅立ち4

 

 

その日のうちに、哲三が連絡させて購入した自家用車と、伊吹の家具一式が来た。

「車まで来るなんてすごいねえ・・・」

「ぼんの送り迎え用です。」

「電車で通うからいいのに・・・・」

「道・・・・すぐ迷わはるやないですか」

「そうだね・・・僕このままでいいのかな・・・自分じゃあ、何にも出来ないし世間知らずだし・・・・」

夕食の洗物をしていた伊吹は、ダイニングの龍之介を振返る。

「一つ一つ習いはったらええです。まずは・・・洗いもん手伝ってください。」

「うん」

立ち上がり隣に来て、すすぎを手伝う龍之介が可愛くてしょうがない伊吹

「これからは僕も一緒にするよ。・・・・・なんか新婚夫婦みたいだねえ・・・」

どきっー 

内心大変なことになっている伊吹。

「どっちが奥さんかなあ・・・・・やっぱ・・・僕が何にも出来ないダメ嫁で、伊吹が家事全部こなすスーパー夫?」

え・・・・嫁・・・・・ぼんが・・・・思考はあらぬ方にむかう

「風呂・・・見てきます・・・」

伊吹はするりとその場を抜け出す。

「伊吹・・・怒ったのかな?嫁のほうがよかったのかな」

食器を拭きつつ、首をかしげる龍之介・・・・・・・

「ええ湯加減です。お先にどうぞ。」

「一緒に入ろうよ」

が〜〜〜ん

卒倒しそうになる伊吹の腕を掴んで、引っ張る龍之介

「小さい時は一緒に入ったじゃん〜ねえ・・・・」

「ぼんは次期組長になるお方です。無防備に人前で衣服を取り去った姿を他人にさらすものと違います。

銭湯はなるべく使わん方がいいですし・・・・」

「じゃあ・・・一緒に寝てもダメなの?」

ぐあ〜〜ん

再起不能な伊吹・・・・

「部屋は・・・別です」

「え〜〜〜〜」

浴室に向かう龍之介を見詰めつつ、どっと疲れが出る伊吹・・・・

(想像はしていたが・・・・ここまで ぼんが甘えたとは思わんかった・・・)

自分の教育が間違っていたのだろうか・・・・と思う。

(組長・・・必ずぼんを一人前の極道にしてみせますよって、安心してください)

拳を握り締め伊吹は誓う。

龍之介に極道のカリスマを身に付けさせよう!!!!

伊吹は決意する。

 

 

 

煩悩と戦いつつも・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ー伊吹・・・まさかとは思うが、龍之介を手篭めにしたら指ツメではすまんぞー

哲三の別れ際の一言・・・・・・・

(そんな事になる前に、舌噛み切って死にます)

自分が龍之介を傷つける・・・伊吹が一番恐れる事。

あの笑顔を涙で濡らすヤツは誰であろうと容赦しない

それが自分であっても・・・・・・

 

 

しかし・・・・

 

 寝食を共にしつつ、しかも二人っきり・・・・・・ 伊吹には拷問に等しかった。

 そして・・・・・・

 これが二人のおバカなラブストーリーの始まりだった・・・・・

 

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